牽牛子記

What's the story, Morning Glory?

ハレがケ

そんながんばらなくてもいいのに、なんて言えるものではない。 

日曜日に研究室にいるのはドクターだけでいいんだよ。なんで今日も8人もいるんだよ。学部生はもうちょっとくらい遊んでいいよ。 

誰が呼んだか、研究室に泊まることを「ラボホテル」というのだと。ホテル・プロパルジョンにはちゃんとベッドもあればシャワーもある。でもラボホテルはオトナの空間。B4・M1のボクたちにはまだ早いのよ。 

閑話休題。 

ブツクサ言いながら研究して、ときどきラーメン食べにでかけて、みんなようわからん時間に寝て、ようわからん時間に起き上がって研究しだして・・・。境なく連綿と接続された何十時間もの週末。 

ああ、そういえばこの空気はいつか吸った。天文同好会の十一月祭だ。KSEの模擬衛星製作合宿だ。サイエンスキャンプ同窓会のモデルロケット合宿だ。 

そうか、かつてのお祭りが今の日常なのか。研究は辛い? なんの、僕が記憶するお祭りは一定量の辛さも内包していた。だからそれも含めてお祭りだ。祭りは好きだ。いいんじゃない? 

明日はみんな吉田に向かい、推進研にリズムが戻る。それもまたよかろう。お祭りだけでは生きていけない。

と感じた、深夜のテンション。

はやぶさ

府内の某小学校に講師として派遣されて、卒業を間近に控えた6年生3クラスの前で、はやぶさについて授業を行う機会に恵まれました。教育局の週刊ニュースで取り上げられたのだけど、映像を見返してみると、子供たちより自分がいちばん楽しんでるのがありありと分かります。 

僕自身、小さい頃にいろいろと理科の面白い話を読んで、聞いて、憧れて、中学高校あたりでは理系の素質を疑われつつも、その漠然としたあこがれだけを頼りになんとか今まで理系をやってきてるので、今度は僕があこがれを提供する番だと思ったのです。 

学校の勉強が何の役に立つのか、と思った時期も僕にありました。っていうか、ずっとそう思いながらここまで来てしまいました。 

けど今になって、その考えの愚かさ、短絡さを実感しています。なにか仕事を成し遂げるためには頭を使わないといけない。 頭を使わないときには、その代わりに、耐えて努力する根性が必要だ。 そのどっちも、勉強などを通じて身につけていくものでしょう。 

だからこの子たちには、将来、自分が楽しめる仕事をするために、勉強してほしい。 
学校の勉強なんて社会じゃ役に立たない、なんてつまらん気持ちは持ってほしくない。 

今回の僕の話でちょっとでもわくわくした気持ちを持ってほしくて。 中学・高校・大学、あるいは社会に出てからも勉強することはたくさんあって、つまらんこともあるでしょうが、その先にはきっと楽しい仕事や人生が待ってると思ってほしくて。そういう意味では、実は僕自身、授業しながら、自分を励ましたイベントでもありました。 

MUSES-Cチーム(後のはやぶさ)の輝きはすごいけど、その過程は苦難だらけだったようですから。 MUSES-Cが打ち上げられたとき、世間はその偉大なミッションに注目せず。

でも公式ブログの写真に映るリポビタンDの空き瓶は日に日に積み上がっていき。 なのに、あまりにも性急に「はやぶさ失敗 試料採取できず」などと見出しに打った新聞。 そして何よりも、未知の状況と困難に続く困難。 

その都度、アクロバティックな解法でぎりぎりの運用を続けた結果、はやぶさは帰ってきて、日本全土を喜びに包んだこと。 

もちろん、小学生相手にこんなアホくさい言い方はしませんでしたが、でもとっても大勢の人が関わって、みんな一生懸命、アイデアと努力を出し合って乗り越えたんだ、という風には、少し話しました。 

一生懸命がんばった末の、あの成功なんですよ。 はやぶさはその象徴です。 

(だから、帰ってきたとき、こんなに盛り上がったのです、きっと。) 

僕もいつか、あの人達みたいに胸を張れる仕事がしたいな、と漠然と思いました。 

十年後、いや二十年後ですかね。 

小惑星サンプルリターン研究会は1985年からずっと計画してきて実現に至ったわけですから。 それを考えると僕のライフワークも、まだわからん話ですね。 

僕の人生、みんなの人生、どうなるかな。

理論家と実験家

弟「・・・(ウトウト)」  

朝「ご飯食べ終わって眠くなった?」 

弟「いつもねむいよ」 

朝「そっかー。『人生は眠気との戦いだ』って、前にお母さんも言ってたしね」 

弟「・・・名言だな。そんなこと言ってたの?」 

朝「ウトウトしながら言ってたから覚えてないみたいだったけど」 

弟「寝るといえば、『実験家は次いつ寝れるかを考える。理論家は次どこで寝るかを考える。』っていうね」 

朝「ひどい話だ(笑)」 

弟「明日のお昼は大学のベンチで寝よっかなーとか」 

朝「それは誰の言葉なん?」 

弟「レオン・レーダーマン。実験家」 

朝「ただの理論家の悪口やん(笑)」 

弟「でも、ずっと考えつめたあと、緊張を緩めた瞬間に新しいアイデアが生まれるもんだよ」 

朝「その感じはわかるけど・・・   あ、もしかして、理論系の研究室を志望した理由って・・・」 

弟「さーねー」